心の隅の少し暗くて見えない部分
2011 January 05 無題 母と祖母と○ 血の繋がらない家族。 喧嘩を傍観するトライアングル。 「どうせこのさきながくはないから」 さりげなく刺さった傘は開きました。 (あれ、おかしいなぁ) 私が泣いたって届きませんでした。 「なんでないているのかわからない」 避けるはずのそれは私の雨を拾い続けます。 もう少しで私を濡れ鼠にするのでしょう。 今の私は宙ぶらりんりん。 2011 January 05 無題 会いたいの 別れたいの? 抱きしめたいの 腕をすてたいの? みえない絆にすがるみじめなわたしは ようするに消えてなくなりたいのですか? 2009 December 24 中二病 あるとき彼は言った ――夢の見すぎなんだよ でも皆、今だってユメを見るじゃないか 野球選手になるんだ! ケーキ屋さんになりたい! 亡くした夢がユメに詰まってる だからヒトは空飛ぶユメを見る 2009 December 15 無題 だれにも夢なんてみてなかった 期待という言葉は悪魔の実だから ここに独りという事実だけが 私を私らしめる 2009 December 09 無題 人は誰しも仮面をつけて歩いている 喜んでいるふりをした仮面 怒っているふりをした仮面 哀しんでいるふりをした仮面 楽しんでいるふりをした仮面 その仮面がうまくかぶれない顔は孤独だ 誰とも話すことができない そのうちに無言の仮面をかぶった 誰も声をかけてこなくなったから やがて顔はうつむくことだけを覚えた そうすればどんな仮面もつけずにすむ そこへやってくる仮面は見下ろして言う 「この顔なしがっ」 顔ならここにあるよ どんな仮面にも真似できないたったひとつの顔が 2009 December 05 無題 言葉の刃が深く突き刺さる 深く深く 深く深く もがくほどに紅く染まっていく 紅く紅く 紅く紅く 一匙の湖が乾いていく 潤いを欲する心はひび割れて 降り注ぐのは冷たい酸性雨 黒くべたついた世界 飛び散る血涙 現実にはナイフを握る片腕 助かる術なんてこの世に一つきり 無に還れ 2009 April 12 無題 冷たい手の中に温かい膝を抱え込む そうすれば少しでも閉じ込められるかなって でも本当は分かっていたんだ そんなことをしても無駄なことは 溶け合った温度は余計に足元を冷やすから 2009 March 10 無題 きつく握り締めたら手の中で砕け散る。 ゆるく縛り付けたら腕の中で息が詰る。 胸をひとつ潰せば紅く染まり。 頭をひとつ壊せば蒼く染まり。 体が動かなくなると気持は白色。 心が考えなくなると身体は灰色。 2009 February 05 きたない汚い穢い 大人はきたない 穢いはおとな 皆生まれた時から大人の階段を上り続ける でもそれは上った先から足元が崩れる螺旋階段 戻りたくて下を覗けばまっくらな塔の底なんて頼りない人の記憶気まぐれに顔を見せる窓の外はきれいな空 そこから身を投げ出したくなっても私は悪くない だってしかたないでしょう 見上げた先もまっくらなんだから意味も見出せない人の標2008 November 03 無題 他人の痛みなんて理解できない そんな建前を理由に話を聞いてもらえない ましてや受け止めてくれることなんて 別にもうそれでも構わなかった その代わりに散々泣いた 目はだんだんと腫れて痛くて そしたら孤独と1つになれた ただ、私はありもしない腕を欲していた 2008 October 23 無題 ふと目が覚めると、そこは地獄絵図のようだった。 あるいは再び夢現の世界にいるのかもしれない。 むせ返るような腐臭がぞろぞろと横たわり、鎌首だけで此方を見上げている。 しかし、よく見ればそれは人を見下している眼だった。 未だに鮮血の噴水をあげている奴らの死線が問いかける。 お前は真に如夜叉たるか、と。 2008 July 22 無題 時に人は脆く壊れやすくて 時に人は驚くほど強くなる 何かを思うとき 誰かを想うとき その源をたどれば きっと夜空の流れ星 2008 June 11 無題 泣きたくなるのは涙があるからで 痛いのは心があるからで なら、ときに死にたいなどと考えるのは体があるからなのだろうか。 もし、人という器が魂だけのものだったなら 束縛や制限の檻を壊して それこそ鳥や蝶のように その背に羽を授かることも出来ただろうか。 地に足をつけて生きることは 世界からの独立であると同時に 既に宇宙からの孤立を意味するはずなのだ。